ライフスタイル 2023年7月7日
日本で、美味しい海の幸として広く好まれている「貝」。
犬が興味を持つ可能性のある対象の一つです。砂浜や海岸に行くと、犬が貝殻や貝を見つけたり、拾おうとしたりすることがあります。
今回は、貝が犬に与える影響や、食べても大丈夫な貝についてなどご紹介します。
犬は、貝に含まれる成分を消化する酵素をもっていないので、貝をうまく消化することができません。
加熱されていない貝は細菌や寄生虫を含む場合があり、それらを摂取することで犬に健康問題を引き起こす可能性があります。
貝殻は破片となって口や消化器に刺さる可能性があるため、怪我をすることもあります。
貝の内蔵であるワタやウロと呼ばれる黒っぽい部分は、犬にとって毒となる可能性もあります。
犬が貝を食べると、中毒症状にはさまざまなものがあります。
消化不良により下痢や嘔吐などの症状や食欲低下に始まりふらつき、息切れなどが一般的に見られるほか、中には昏睡状態になってしまうケースもあります。
また生の貝には、神経機能を保つ「ビタミンB1(チアミン)」を分解する酵素、「チアミナーゼ」が含まれています。
大量に摂取するとビタミンB1(チアミン)欠乏症となり、運動失調や昏睡などの神経症状が現れる可能性もあります。
そのためアメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)は、アワビはアルコールやカフェインなどと同じ「危険度レベル中(摂取量によっては危険度が高まる食材)」、その他の貝類は生卵やナッツ類などと同じ「危険度レベル低(適量であれは問題ないが、過度に摂取すると危険な食材)」に設定しています。
他にも毒が含まれている場合もあります。例えば、特定の地域で見られるヒトデやウニなどの貝は、犬にとって有害な場合があります。中毒症状には嘔吐、下痢、神経症状などがあります。
犬が大きな貝を誤って飲み込むと、窒息の危険があります。また、小さな貝殻や破片を飲み込むと、消化器の問題を引き起こす可能性があります。これらの状況では、獣医師に相談する必要があります。
特に注意するべき貝は、アワビ、サザエ、ツブ貝、赤貝、トリ貝などです。
これらには、チアミナーゼが含まれるため、一度に大量に食べたり、食べ続けたりすると、ビタミンB1欠乏症になってしまいます。生だけでなく、加熱した状態であっても危険性は変わりません。たとえ少量であっても犬への影響が見られる種類です。
未加熱・加熱済を問わず、犬には与えないようにしましょう。光線過敏症などを引き起こす可能性があります。
食べたあとの貝殻や、ゴミ箱に残る汁などにも注意してください。もし貝殻を誤食してしまうと、食道や消化管を傷つけたり、詰まったりする恐れもあります。貝類を使って調理をした日は、何重にも重ねた袋にゴミを入れ、絶対に犬が手を出せない場所に保管しましょう。
犬も少量であれば食べられる貝もあります。総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合は、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。
牡蠣は、加熱して細かく切ってあげれば、犬に食べさせることができます。生のまま与えると、ビタミンB1(チアミン)欠乏症になってしまう可能性があるので注意しましょう。
しじみも、犬が食べられる貝の一つです。ただし牡蠣と同様に、必ず加熱して細かく切ってから食べさせるようにしましょう。
スーパーなどで市販されているアサリに限り、与えることができます。アサリはビタミンB12とタウリン、ミネラル類が豊富な食材です。海水浴や潮干狩りで採ってきたアサリは、しっかりした基準が設けられた検査を通過したものではないため、安全性に不安があります。
人間用にはお味噌汁や酒蒸しなどで調理することが多いですが、犬に与える場合、調味料は一切使わず火を通しただけのものを与えてください。また、細かく刻んでからあげると消化しやすくなります。
貝ヒモも、加熱をすれば食べさせることができます。与える際は小さく切ってあげましょう。
ホタテは、貝柱の部分と、貝ヒモの部分であれば食べさせることができます。こちらも、加熱して細かく切ってから与えてください。
貝柱と貝ヒモ以外の部分には毒性があるため、絶対に与えないようにしてください。
貝ヒモや貝柱を使用した犬用のおやつであれば、少量なら与えても問題ありません。くれぐれも与え過ぎには注意してください。
アレルギーは、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長い期間同じ食材を食べることにより発症する可能性がある後天性アレルギーがあります。
犬でも食べられる貝を初めて与える際は、少量からスタートしましょう。以下の症状が見られた場合は、アレルギーの可能性があります。
貝を食べた際に上記のような症状が現れた場合は、獣医師に相談しましょう。
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犬が貝殻を誤飲してしまったら、速やかに獣医師に相談してください。嘔吐や下痢の症状が出る可能性もあります。
ワンちゃんが食事をしてから体に異変がでてしまった際には、獣医師に「5W1H」という愛犬の状態を分かりやすく説明できる項目を書き留めておくようにしましょう。
「5W1H」とは、次の項目の頭文字をとったものになります。
獣医師には、「いつ」「何を食べて」「どのような症状が出ているか」を明確に伝えるようにしましょう。
犬に貝を与える際は、犬に与えて良い貝か、その貝を適切に調理できているかを十分に確認した上で、少量のみ与えるようにしましょう。
近年、さまざまなタイプの犬のごはんが発売されたりレシピが公開されたりと、あげるごはんのバリエーションが増えています。
初めての食材を与えるときには、事前にさまざまな情報を集めるようにしましょう。
グルメな舌を持つ犬も増えつつありますが、飼い主に求められるのは、正しい知識です。