ライフスタイル 2023年8月13日
子犬を家族に迎えて、子犬がおうちの環境に慣れてきたら、まず考えたいのがワクチン接種です。
あらかじめワクチンを接種しておくことで、感染症の発症予防、症状軽減が期待できます。
犬の感染症の中には、感染力が高く重症化しやすいものや、後遺症が残るものなどがあります。
ワンコと長く生活をともにするためにも定期的なワクチン接種は必要です。
一緒におでかけする前に、まずはワクチンの基礎知識を身につけ、動物病院で予防接種を受けましょう。
この記事では、生後何か月からワクチンが必要で、どのくらいの間隔で接種するべきか、ワクチンスケジュールやお散歩にはいつからいけるかなどを解説していきます。
生後2~3カ月で免疫がなくなるため、子犬はワクチンの接種が必要です。
通常、初乳を飲んだ子犬は個体差もありますが、およそ生後6~12週で、母親から譲り受けた免疫力がなくなります。そのため、生後6〜8週頃からワクチン接種を始めると、体内に抗体が作られ、免疫力を獲得できるのです。
生まれて間もない子犬は、ワクチン摂取1回だけだと、しっかりと抗体が作られない場合があるので、2~3回接種する必要があります。
抗体は時間が経つと減少してしまうため、年1回は抗体価の測定やかかりつけの獣医師と相談して予防接種を忘れずに行いましょう。
犬のワクチンの種類は大きく二つに分類されます。
狂犬病を予防するためのワクチンで、子犬も生後90日を過ぎたら、年1回の接種が法律で義務づけられているワクチンです。
狂犬病は、犬に限らず、ほとんどすべての哺乳類が感染する人獣共通感染症。狂犬病ウイルスを保有している動物に咬まれたり、傷口や目、口などの粘膜を舐められたりすると感染します。
発症すると興奮しやすくなる、麻痺が起きる、錯乱状態になるなどの症状が現れ、ほぼ100%死に至る恐ろしい病気です。
万が一、人や他の動物に咬みつく可能性もあるので、年1回の狂犬病ワクチンの接種が義務づけられています。
飼い主の義務である「畜犬登録」を行うことで、年に一度、狂犬病ワクチン接種のお知らせが届くため、うっかり忘れてしまうことがなくなります。子犬を迎えたら、必ず住んでいる自治体で登録を行いましょう。
接種が推奨されているコアワクチンと飼育環境に合わせて摂取するノンコアワクチンを組み合わせたワクチン。 さまざまな感染症を予防するためのワクチンで、接種は任意です。
混合ワクチンとは、複数のワクチンが組み合わせられたもので、いくつかの感染症に対する免疫力をつけられるものです。
構成されているワクチンは、致死率の高さからすべての犬が接種するよう推奨されている「コアワクチン」、飼育環境に応じて接種が必要になる「ノンコアワクチン」があり、組み合わせによって2種から11種まで用意されています。
犬のワクチンは、人間のインフルエンザの予防接種と同じものと考えましょう。ワクチンを接種したからといって、100%感染を防げるわけではありませんが、感染した時には症状を軽減させられます。
また、狂犬病ワクチンと同様に、ドッグランやペットホテルで予防接種証明書を求められることもあります。感染症から守るだけでなく、犬と暮らす上でのマナーとして、毎年の抗体価測定や予防接種を欠かさないようにしましょう。
下記が感染症とワクチンの対応表になります。 混合ワクチンについてはかかりつけ動物病院の先生に相談しましょう。
病名 | 接種義務 | コアワクチン(任意) | ノンコアワクチン(任意) |
---|---|---|---|
狂犬病 | ● | ● | |
犬ジステンパー | ● | ||
犬伝染性肝炎 | ● | ||
犬アデノウイルスⅡ型感染症 | ● | ||
犬パルボウイルス感染症 | ● | ||
犬コロナウイルス感染症 | ● | ||
犬パラインフルエンザ | ● | ||
犬レプトスピラ症 | ● |
急性で高熱を発するウイルス性の感染症の代表で、伝染力が強く、死亡率の高い病気です。完治しても神経症状などの後遺症が残る可能性があります。
犬パルボウイルス感染症は、犬に急激かつ重篤なウイルス性腸炎を引き起こし、若齢犬には心筋炎を起こす可能性もある感染症です。
イヌ化の動物だけに感染するウイルス性の肝炎です。感染すると症状が急激に進んで突然死が見られる場合があります。また、回復期には眼が青白く濁って見える「ブルーアイ」の症状が見られることが特徴です。
伝染性の気管炎で、頑固な咳をする呼吸器の病気です。咳やくしゃみなどの呼吸器症状が見られます。他のウイルスや細菌との複合感染による重症化に注意が必要です。
短く乾いた咳や発熱などが主な症状です。元気や食欲はあることもあります。ほかのウイルスとの感染を併発するとケンネルコフと呼ばれることもあります。
成犬ならば症状が見られないことも多いですが、子犬の場合だと下痢や嘔吐、元気消失などを起こします。また、犬パルボウイルス感染症などの腸炎を引き起こすウイルスと複合感染すると、症状が重くなることがあります。
急性の胃炎及び肝炎を起こし、高熱が出た後、体温が低下し、急死することがあります。
また、嘔吐や歯肉からの出血、黄疸も見られ重症型です。
胃炎と肝炎を呈することが多く、発熱、元気、食欲がなくなります。
また、嘔吐や血便をし、腎臓がはれて死に至ることもあります。
人のレプトスピラ症の病原菌で、犬での感染が多く確認されています。腎炎と肝炎を併発することもあり、死亡率も高い病気です。
狂犬病については前章をご確認ください。
自治体による接種は3,000円程度。各動物病院での接種は病院により異なるので、まずはかかりつけ動物病院に相談しましょう。
狂犬病ワクチンの接種は自治体が行う集団接種か動物病院でしてもらうことが可能です。
畜犬登録を行うことで毎年1回届く「狂犬病予防注射のお知らせ」には、自治体ごとに定められたワクチン接種の日程(狂犬病予防週間)と会場が記載されています。
狂犬病予防週間は4月から6月の間の1週間程度で、地元の公園などで実施されることがほとんど。費用は3000円程度です。
動物病院であれば、年間通じていつでも接種が可能ですが、費用は動物病院によって異なるので、事前に確認してみしましょう。
混合ワクチンの費用は動物病院によって異なります。詳しくはかかりつけ動物病院に相談しましょう。ワクチンは予防になるためペット保険は適用されません。
混合ワクチンの費用は動物病院によって異なります。
混合ワクチンの費用は動物病院によって異なります。
平均的な価格は2種、3種の混合ワクチンであれば3,000円〜5,000円程度。
5種以上(11種まで)ですと、5,000円〜12,000円程度。
ワクチン接種は病気の治療ではなく「予防」になるため、ペット保険の対象外となります。
生後8週間前後から1回目のワクチン、3〜4週間間隔で接種をしていきます。
混合ワクチンと狂犬病ワクチンの同日の接種ができないので、1カ月以上空けて、それぞれ接種しましょう。
ワクチン接種の計画について、子犬を家族に迎えたらかかりつけの動物病院に相談しましょう。
ドッグランやペットホテルの中には、ワクチン接種が利用の条件となっているところが多いです。愛犬のためにも接種をしましょう。
混合ワクチンは接種から3〜4週間の間隔で接種していきます。
負担が大きくなるため、混合ワクチンと狂犬病ワクチンの同日の接種はできません。混合ワクチン接種の後は1か月以上空けて、それぞれ接種しましょう。
抗体は時間が経つと減少してしまうため、年1回の抗体価測定や予防接種を忘れずに行うようにしましょう。
多頭飼いの場合、ワクチン接種前の子犬を先住犬と接触させるのはなるべく控えましょう。
先住犬がいる場合は、ワクチン接種前の子犬を新しく家族に迎える際に、子犬との直接的な接触を避けるようにしましょう。
成犬(先住犬)は毎日お散歩などで、さまざまな犬や動物と接触する機会があります。
そのため、病原菌や細菌・雑菌などをもっている可能性があります。
免疫力の弱い子犬にとってリスクになってしまう場合があります。
最初は子犬をサークルやゲージの中に入れ、外から挨拶させるのみにしましょう。
お散歩同様、3回目の接種から2週間ほどたった後に先住犬と直接挨拶をさせてあげるのがおすすめです。
接種後すぐにあらわれるアナフィラキシー反応と、しばらく経った後に症状がでる副反応があります。
もし副反応が出たら、すぐにかかりつけ動物病院に相談を!
子犬の初めての接種後は安静にし、子犬の様子に注意して副反応が出ないか観察するようにしましょう。成犬でも初めての接種でなくても症状は出ることがあります。
副反応には、接種後30分〜1時間以内にでるアナフィラキシー反応と、
時間が少し立ってから出るアレルギー反応があります。
アナフィラキシー反応はぐったりしたり、チアノーゼに、嘔吐、混沌などの強いショック症状が現れます。
アナフィラキシー反応は、治療が遅れると命に関わることもあります。
少しでもぐったりしたり、嘔吐などの変化が見られた場合は早急にかかりつけ動物病院につれていきましょう。
また、できれば接種後30分くらいは病院の中で待機していることもおすすめです。
接種後数時間立ってから現れるアレルギー症状には、顔面の腫れやかゆみ、湿疹や下痢などの症状があります。
これらは時々見られる副反応で命の関わることは少ないといわれています。ただし、発熱や下痢・嘔吐などご家族から見て心配な症状の場合はすぐにかかりつけ動物病院に相談してみましょう。